オイル式制震ダンパーでは、業界有数の120年製品保証(*1)を誇るトキワシステムに、工務店が知っておきたいオイルダンパー<虎の巻>を取材。お施主様とメーカーの架け橋となる工務店にとって、メーカー発信のエビデンスは製品説明時に活用的です。施工までのスケジュールや販促のヒントまで公開します。
(*1):(株)トキワシステムが販売する「αダンパーExⅡ」製品に関して保証するものです。設計施工マニュアルに従った設置で、保証期間内に故障をした場合に限ります。無償修理、有償修理にかかわらず、修理が必要と判断される場合、本製品の設置および取り外し、再設置費用については保証対象外となります。
トキワシステムは、1999年に自動車メーカーのミッション系回転軸インライン装置を設計・開発するメーカーとしてスタート。その技術に着目した名古屋の国立研究機関から要望を受け、木造住宅の振動測定装置を開発しました。それを機に、オイル式の制震ダンパーの開発にも着手。
制震ダンパーの開発・販売だけでなく、“大切なあなたの家族を守りたい”をキャッチコピーに「αダンパーExⅡ」の普及に注力しています。
ぼくは、ナマズだからトラのことは、よく知らないけど
<虎の巻>って言われると、気になっちゃう~!
なまズン
制震ダンパーを採用する際、大きな山場となるのがお施主様への説明対応です。特に、製品の構造や仕組みが複雑な場合、どのポイントから知ってもらえばいいのか戸惑うことも。 導入スケジュールの例に続き、ここではトキワシステムが開発したオイルダンパー「αダンパーExⅡ」の結果報告書=「時刻歴応答解析報告書」を参考に、お施主様へ分かりやすく伝えるコツを紹介します。
業界用語や専門的知識を簡単な言葉でお施主様へ説明するのは、工務店のような専門家・プロであるほど難しいものです。分かっていても、この“やさしい言葉”が商談時になかなか出てこず、熱意は伝わったけれど理解は半分しか得られなかった…という経験があるはず。
お施主様への営業トークを成功させる秘訣は、「時刻歴応答解析報告書」の見やすさと、設置時=未設置持2つの効果を見比べて、その違いを主に知ってもらうことです。この時、制震ダンパーの有無が、結果的に費用対効果にもつながることも説明しましょう。
トキワシステムの「時刻歴応答解析報告書」には、地震の揺れによる建物の傾きが、設置後どの程度改善されるのかを示した改善率(%)や、解析結果の見方サンプルも記載されています。また、総合評価として「耐震等級」がどのくらい相当UPするか、明確な数値も大きな字で示されています。お施主様は資料を見ただけでも、制震ダンパー導入のメリットを感じられるでしょう。
制震ダンパーは、そもそも耐震等級をクリアしている住宅において実力を発揮するものです。築年数の古い建物では、十分な効果が得られないことが多く、メーカーにより耐震等級への影響も異なります。そのため、地震対策や“耐震”という言葉に敏感なお施主様への説明時には、「耐震等級×制震ダンパー」の相性をしっかり理解していただきましょう。
耐震等級2は耐震等級1の約1.25倍、耐震等級3はおよそ1.5倍の強さであることから、オイルダンパー「αダンパーExⅡ」の場合、時刻歴応答解析の改善率25%以上で“1ランク相当アップ”と設定しています。これは、平米数・等級・屋根の重さを踏まえて算出したもので、ダンパーの本数によって改善率ともに変更可能です。
お施主様のご予算によっては、配置設計として可能な範囲で本数を調整。ご希望の改善率を相談のうえ決定しますが、基本的には費用対効果の高い推奨本数で確定する流れとなります。
制震ダンパーは、頻繁に発生する地震から、大切な家の構造を守るメカニズムが実証されている製品です。
人命に関わる製品は、エビデンスが最優先。工務店が提供する設備やプランにおいて、災害から家と人を守る仕組みを採用することが、お施主様から信頼を得るきっかけとなるのです。
トキワシステムの制震ダンパーは、過去にテレビ番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」(2011年8月28日放送分)でも紹介された実績を持っています。古い家を蘇らせる技術を持った工務店にも選ばれたということも、トキワシステムの制震ダンパーが工務店からの信頼を得られているポイントです。
制震ダンパーを導入する際は、その製品がお施主様の住宅タイプにマッチするか、施工までにどの程度期間が必要なのか、また費用面のチェックもマストとなります。これらの詳細は、各メーカーHPで明記していることが少なく、お問い合せ・資料請求を受けてから伝えているケースがほとんど。そのため、まずは興味をもった制震ダンパーについては、直接メーカーから詳しい情報を得る必要があります。
ここでは、業界有数の120年製品保証(*1)を誇るオイルダンパー「αダンパーExⅡ」を例に、お問い合わせから見積作成、施工までのスケジュールを紹介します。トキワシステムの専門設計部門には、二級建築士でデザイン関係や住宅会社勤務経のあるスタッフ、さらに、二級建築士でハウスメーカー・プレカット会社での木構造設計経験が通算約20年というベテランスタッフが、技術的な対応・サービスを行っています。
初めて制震ダンパーを導入する際は、費用感やスケジュールも大切ですが、対応してくれるメーカー担当者の経歴や人柄も知っておくことで、安心して検討を進められるでしょう。
(*1):(株)トキワシステムが販売する「αダンパーExⅡ」製品に関して保証するものです。設計施工マニュアルに従った設置で、保証期間内に故障をした場合に限ります。無償修理、有償修理にかかわらず、修理が必要と判断される場合、本製品の設置および取り外し、再設置費用については保証対象外となります。
トキワシステム「αダンパーExⅡ」の場合、お問い合わせ・資料請求後は約1、2営業日内に資料が届きます。
この時点で導入検討に興味がある場合は、最初に「製品説明」の日程を調整します。最短でも1週間を見込んでおくと良いでしょう。
より検討を進める際には、サンプルなどの図面をメーカーへ提出します。
次に、設置の際に重要となる「配置計画図」「時刻歴応答解析報告書」、そしてお施主様への説明や社内稟議で不可欠な「見積書」が作成されます。トキワシステムでは無償での提供となりますが、メーカーによっては料金が発生する場合があるため、事前にチェックしておきましょう。
計画図等は、依頼翌日から数えて中4営業日程で到着します。この結果を社内・お施主様と検討し、正式に発注するかどうかを決定していきます。
メーカーへ発注することが決まったら、最終的な「本配置図」を作成するため、正式な図面を再度提供します。その後、メーカーの専任技術者が作業を開始し、中4営業日程で最終確定した配置図が工務店へ送付されます。
「αダンパーExⅡ」は通常、発注から土日祝を除く中5営業日で納品されますが、新築住宅に設置する場合、上棟日前後に納品を希望する工務店が多いようです。
以降、取り付けスケジュールの調整や、現場対応は工務店の出番。
このとき、初めての制震ダンパー取り付けに不明点や不安がある場合には、トキワシステム営業担当者が現場を訪問し、取り付け説明を行うケースもあるそうです(希望工務店のみ対応)。このようなサービスはメーカーごとに異なるため、あらかじめ費用面とともに確認しておくと良いでしょう。
お施主様のご都合や物件状況、工務店の希望日程によりスケジュールは異なります。
施工までの流れは、下記「αダンパーExⅡ」の例をご参考ください。
「αダンパーExⅡ」は、こうやって取り付けるんだね
とっても簡単!
子ナマズのぼくでも、できそうだズン!
なまズン
「本配置図」をもとに、指定箇所に取り付けます。本体が軽量のため、ビスで留める際に手間がかかりません。
小型で取り付けが簡単なため、作業員が1人でも楽に施工できます。
施工完了。
窓枠付近や狭いスペースにも、計画的にしっかり取り付けることができます。
施工中の様子1
施工中の様子2
「耐震」とは違い、「制震」自体には国が定めた基準がありません。しかしその事実は、お施主様はもちろん、業界内でも、まだあまり知られていないのが現状です。地震対策で重要なのは、まず耐震工法で家を建てること。制震ダンパーは、その次の地震対策として“安心をプラスするもの”と考えましょう。
建物の耐震性能を長く維持するためには、制震装置の設置が効果的です。建物の耐震性能評価は、1回の大きな地震で大幅に減少してしまいますが、制震装置(制震ダンパー)が備わっていれば、耐震性能の低下を緩やかにできるのです。
もともとオイルダンパーは高層ビル等で採用されており、固有周期(※)がないため、微震から大きな揺れまで、地震の規模にかかわらず対応します。
地震の揺れ始めに起こる、建物への小さな変形時から効果が期待できること、そして余震などの繰り返される地震にも安定した性能を発揮することで、結果的に、お施主様の地震に対する不安を和らげる役割もあります。
最後に、今回取材に応じてくださった「αダンパーExⅡ」の作り手であるトキワシステムの社員に、制震ダンパーの大切さと将来性について聞きました。技術者・営業担当者目線で推測する、これからの地震対策について、参考にしてみてください。
今の新築住宅は、「耐震」という家を固める仕様となっています。その耐震の素晴らしさに「制震」を加えることで、より安心・安全をお届けしたいと考えています。
耐震性能を守って性能を維持するために、制震技術として「制震ダンパー」が注目されています。日々発生する小さな揺れによって、住宅の構造は少しずつダメージを受けて変形し、耐震性能は徐々に劣化していきます。
制震ダンパーが揺れのエネルギーを吸収して、耐震構造への影響を防ぐことで、住宅を守る機能が発揮されるようになるのです。
いざ震災などが発生し、避難生活を求められた際に、避難所ではなく“自分の家”で安心して過ごしていただきたい想いがあります。そのために、日常繰り返される地震等による家の損傷を減らし、必要時にしっかりみんなでおうちの中で過ごしていただけるよう、ご協力したいです。
コロナ禍により、万が一の避難時に、場所の確保が大変な時期に入っています。また、大切なペットや資産は避難所へ持ち込めないなどの規制も出てきているようです。
震災などが発生した時、自分の「大切なもの・守りたいものは何か?」ぜひ一度考えながら、これからの家づくりをしてほしいと願っています。
制震ダンパーの魅力は、建物の揺れ幅を低減させ、人命・建物内の資産を守ることはもちろん、家の構造をいかに長く保ち、いかに建築時のパフォーマンスをキープできるか。そして、長い期間かけて建てた家に、お施主様が長く住んでいただけること。「αダンパーExⅡ」の説明時も、そのことをお伝えしています。
昨今は、サステナブルな住宅が求められている時代。お施主様ご自身だけでなく、お子様、お孫様の世代まで、末永く安心・安全に暮らしていける家づくりにご協力しています。
お施主様にとっては、家を建てることはとても夢のある出来事です。建てて終わりではなく、50年、100年…と、その先の夢も見続けていただきたいという想いがあります。
建築基準法では、面材耐力壁の間柱欠込みについて規定はありません。ただし、国土交通大臣が認定している面材商品を使用する場合は規定に注意が必要です。
トキワシステムの「αダンパーExⅡ」は小型のため間注欠込せずに設置可能ですので、制震ダンパーを設置する際の候補に入れてみてはいかがでしょうか。
会社名 | 株式会社トキワシステム |
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所在地 | 静岡県浜松市西区大平台2-48-24 |
電話番号 | 0120-948-314(フリーダイヤル) 053-525-8080 |
公式HP | https://www.tokiwa-system.com/ |